最近呼んだ本で「蛇(ウィモン・サイニムヌアン著)」というのがあります。
一見のどかなタイの村々ですが、そこには人々の心の支えである「寺」と村長や貧しい農民の緊張関係や構造が見て取れます。
死んだ自分の寺の僧侶さえ金を集める道具にするという、すさまじいまでに欲に取りつかれた僧侶。
村民を利用して寺を大きくし、ゆくゆくは仏教界での地位を高めようとする僧侶が一方におり、その寺と農民を利用し寄進(功徳=タンブン)をしながら中央政界に打って出ようとする二世村長。
二世村長に横恋慕され、はめられて殺人犯し刑務所入所しているうちに妻を村長に奪われた、元ムエタイのボクサーである主人公。
主人公は現金収入を得るために蛇を捕獲し、時には、寺と村長の要請で、寄進を集める寺の祭りのムエタイ興行にかり出されますが、自分の信念を貫きながら、不条理に抵抗する姿を描いており、傍から見ていたのでは見えにくい村の人間関係が見えてきます。
田植えのための籾殻を手に入れる農民に金を貸付け、収穫で返済させる金貸しがどこの村にもいるようですが、降雨ひとつで不作となってしまうと返済しきれず、借金が増え田畑を手放さざるを得ないものも多く、そんな奴隷のような貧困の様子も描かれています。貧困でも来世の幸せを求めて寄進し続ける主人公の母親の姿は、哀れを通り越し、おぞましくさえ思えます。
寺栄えて農村疲弊せり。という感じですね。
タクシンが農村に金をバラ蒔き、農民が彼を支持するのも別の目線で捕らえたくなります。
時々、ご利益の高い名僧の話題がタイで見られますが、本当のところは、金集めのうまいくそ坊主ではないのかしらと思えてきました。
この本は多少古いのですが、エンターテインメントとしても楽しめる上に、宗教の危うさや権力、貧困などタイ社会の深部を知るうえでは優れた作品だと思います。
皆さんに一読をお勧めします。

出版:メコン社
概略
人間と二つの蛇。 一つは動物のヘビ、もう一つは人間を呑みこんでしまう「寺(=タイ仏教界)」というヘビのすさまじい闘いを描いた、まさに異色作。仏教王国タイでこのような、僧侶批判、寺批判の物語を書いた著者の憤りが感じられる。『タイ仏教入門』とあわせて読めば、タイ仏教の構造と現実がかなり見えてきます。
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タンブンよろしくお願いします↓

posted by ショーン at 19:36| バンコク

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